舞踊団
Bulgaira
Филип Кутев(Filip Kutev)
Filip Kutev(1903~1982)という人物が1951年に設立したBulgariaの最初の国立舞踊団。今は彼の娘が舞台監督?をやってるらしい。多くの合唱団はこの団体から広がったとか。
HP
https://www.facebook.com/PhilipKoutev/
Latobia
TDA Vektors
HP
https://www.tdavektors.lv/?fbclid=IwAR2dDW8NGiGGF9frPR47PBot4RSqTRnEDz-W9CkbFGOetO0RhF6pt0fOiW8
Litoania
Lietuva
1940年11月設立。Lietuvaはリトアニア語でリトアニアという意味。
https://ansamblis-lietuva.lt/en/about-us/
Moldova
Ansamblul Academic National de dansuri populare "Joc"
モルドヴァ最古の舞踊団。1945年8月13日設立。
https://www.facebook.com/ANADPJOC
Fluieras
North Macedonia
Танец
たねつ。1949年設立。KOLO,LADOに並ぶ旧ユーゴの三つの国立舞踊団の一つであったらしい。
https://www.facebook.com/www.tanec.com.mk/
Poland
Mazowsze
Poland第一の舞踊団である(最古の舞踊団は1947年設立のHarnam)。某講習者の出身舞踊団もここ。1948年設立であり、二次大戦後のゴタゴタが終わってポーランドのソ連支配が確定した直後に設立されており社会主義政権の影響が見て取れる。ただ1960年にアメリカでコンサートがあったらしく、冷戦下でも西側諸国に定期的に公演に行っていたようである。近年ではEU圏外では公演を行なっていないようである(19年クリスマスにアイスランドでやったらしいけど…)
ワルシャワ駅から車で30分くらいのところに劇場を持っている。毎日公演をやっているわけではないので、旅行に行く前にチェックしてネットでチケットを買っておくと良いと思う(僕は日程的に無理だった)。
バレエ化したPolandの民族舞踊をやっておりMazowsze地方以外のものも広く取り扱っている。振り付けが50年近く固定状態にあるが、少しづつ細かいところは変わってきている。
HP
Slask
Poland第2の舞踊団である。1953年設立。国際法の判例で出てくるシレジアの舞踊団である(シロンスクはポーランド語名)。どう考えても領土問題と舞踊団の設立は無関係ではないだろう。
日本にもここ十年で数回来ており、日本でPolandの踊りを見るなら一番とっつきやすいと思う。クオリティも非常に高い上、首都圏関西あと2地方くらいを二ヶ月ほどかけて回ってくれる。ありがたい
設立当初はSlask地方の踊りばかりやっていたらしいが、現在ではSlask地方以外のものも広く取り扱っている(バレエ化はやっぱり起きている)。振り付けは40年近く固定状態にあり、やはり細かいところは変化している。Mazowszeも変わってきているため、微妙にステップや手の振り方など、違いが見られる。
HP
Zespół Pieśni i Tańca Śląsk im. Stanisława Hadyny
Slowianki
上記二団体と異なり、学生および卒業生主体の舞踊団である。1959年にクラクフのUniwersytet Jagiellońskiで設立されている。詳しいことはPoland語を読めないのでわからないが、現在はUniwersytetu Jagiellońskiegoという大学と共同の団体になっているらしい。両方ともクラクフの大学であり、本拠地はクラクフ駅から徒歩30分ほど。
なぜかわからないがデータベースの質が非常に高く、HPの衣装紹介のページも地域ごとに分かれていたり、Youtubeチャンネルも年代ごとに整理されていたり、学生団体ですか…えぇ?。
日本に公演に来たことがあるが、九十年代に一度だけである。
踊りについては研究したことがないのでわからない。某先生の振り付けた4大poland曲のうちの一つ、ソービアンキ(kvkでは2011年度に消滅、現在はその枠にkuba jurek)はこの舞踊団の70年代のMazurを基にしたものだと思われる。
他国の踊りに果敢に挑戦してる感があり、BulgarianoのDzinovskoやMacedonski tanc(マケドニアの踊り)などという踊りをやってる動画もある。どうしても感じるポーランド人感があり、ここを言語化できればポーランドらしさに一歩近づけそう。。
HP
Zespół Pieśni i Tańca Uniwersytetu Jagiellońskiego Słowianki - Aktualnosci
Romania
Romafest(2)
舞踊団
ルーマニアのトランシルヴァニアのジプシーによる舞踊団である。現地人の踊りではあるが、ルーマニア人の踊りでもマジャル人の踊りでもなくジプシーの踊りをやっている(彼らは有名なルーマニア・ハンガリーの踊りは踊れるらしいけど)。
厳密に言えば日本人が設立したものなので国外のコミュニティというのはちょっと無理があるのかもしれない(この話は国内編に書いた)。現地で舞踊団として活動したり、舞踊団のメンバーがシルクドゥソレイユに出向してパフォーマンスしたりしている。毎年夏に舞踊の短期留学プログラムみたいなことをやっているらしい。詳細はフォークロアレポートのサイトに掲載される(はず)
Slovakia
Lucnica
1948年設立。Slovakiaの4つの国立舞踊団の一つ。Slovakia人系の舞踊団であり、大学生が主体らしい。
HP
Sluk
Slovakiaの4つの国立舞踊団の一つ。Slovakia人系の舞踊団らしい。Slovakiaの首都Bratislavaが本拠地であり、自分たちのシアターを持っている。
HP
About us | Slovenský ľudový umelecký kolektív
Ukraine
Virsky
舞踊団
Ukraine第一の舞踊団。ここのHopakに憧れた舞踊人は多いと思う。時に国外の他の舞踊団とコラボしており、Romafest Verbunk ver.Virskyとか、Rustabi VS Virskyとかやっている。おもろい。
HP
U.S.A
Trinity Irish Dance Company
1990年設立。シカゴを拠点に活動するアイリッシュダンスの団体。RiverDanceの流れを汲んでいるのでFolkとはちょっと違うのかもしれないねー
HP
舞踊の分類 その1
公務員試験に落ち、暇になっちゃったので筆がやけにのっている。
舞踊がどこに帰属するのかによって分類するのは、比較研究をする上で役に立つのでずっと気になっていたテーマである。と同時に、非常に手を出しにくい話である。舞踊の帰属集団の性質はモノによって随分違い、民族(属人的)だったり、村(属地的)だったり、特定の権威だったりする。いろんな分類の仕方を見てメリットデメリットを考えたいなぁ。
1.国別
一番当たり障りのない分類だと思う。パーティでよく採用されている分類であり、フォークダンス関連団体はみんなこれ使ってんじゃなかろうか。
現代では国境未確定地域は少ないため、基本的にはわかりやすく間違いにくい。曖昧でもいいから地図を見ればとりあえずどのあたりの文化かわかる、という意味でよく知らない人に紹介する時に役に立つ気がする。
大まかな国境が確定してから70年ほど経過しているので国ごとに文化が根付きつつある上に、これからの時代は再び国境が大きく変わる可能性は低く、これから数百年大きな国境の変更がなければ各舞踊文化は国を基盤としたものになると思われる。
デメリットは国境問題をそのまま受け継ぐことであり、Kosovoが独立してるのか否かとか中国と台湾を分けるのか否かとか微妙な問題をはらみ、国名変更(ユーゴの分裂、少し前の北マケドニア)などにより過去の資料がわかりにくくなる。
また、踊りの本質から外れることが多い気がする。旧共産圏のナショナリズム刺激や19世紀初頭の汎Scandinavia主義などの例外を除けば、ほとんどの踊りは特定の集団を起源としており、国民国家を起源としていることはあまり多くはない(アイヌの剣舞踊や琉球舞踊を日本の踊りとして定義づけていいものだろうか?)。
旧ソの衛星国家とScandinavia、Israelでは実態に即した分類になると思う。バルカンはむしろ地方の方が大事な気がするね!
複数の他国の踊りを楽しむ場で用いられるのが良いのだろうな。
2.民族別
国別と比べるとわかりにくくどの地域にどのような民族が住んでいるかは自明ではないので、知らない人にとってはハードル高そう。
多種多様な民族が混ざり合い、かつそれらの独自の文化がせめぎ合っている地域ではかなり有用である。ハンガリー〜ルーマニア〜ウクライナはむしろこの分類法を使わないで理解するのはかなり難しいと思う(トランシルヴァニア、モルダヴィア、ブコヴィナなど歴史的に複数国家を移動した地域が連続的に存在している)。詳しくはないが、コーカサス、アフリカなどで実態に即したものになる気がする。
現代Polandなど文化が国に根付いているところにとっては全く意味がねぇ〜。
特定の一つの多民族国家の国家内での踊り場や、民族的コミュニティにおいて有用っぽい。あと特定の民族文化を研究してる人にはありがたいのかもしれない。
3.舞踊団別
基本的には意味のなさそうなわけかたである。
例外としてRomafestはそれ以外のジプシーと舞踊団的効果のあるジプシーの差を考慮する時に使えそう。また、Riverdanceなど国境に捉われずに影響を与えていることもあるので、この分け方をしないと本質的に意味がない場合もある。
メリットがあるとすれば舞踊団は同じ踊りを舞踊団毎に違う振り付けで長年継承してるので、その変異の傾向が判別できることだろうか?そんなことが可能なのかはわからないが…
どこでも使え無さそう。舞踊団見に行く時に他の舞踊団との比較とかいらんし。
4.形態別
カップル、グループ、ソロなど。さらにグループであればスクエア、コントラ、サークル、なしなど。
研究のしやすい分け方である。系統分析をしたい時にはこの考え方が使える気がする。例えばヨーロッパにおいては、ロングウェイ型であればカントリーダンスの影響、スクエア型であればカドリーユの影響である(チェーン型は多系統らしい)など。
デメリットはめっちゃわかりにくいことである。相当知識がないと意味がわからないと思う。
特定の一つの国家の踊り場の場合は有用かも。そして舞踊の表形の研究者にとっては必要不可欠な分け方である。
5.音楽的性質別
そのいち
民族音楽の世界にはリズムとノリをまとめた便利な言葉が色々あり、それでわけたらどうか?というアイデアである。BulgariaのRacenicaや、HungaryのVerbunk、Franceのmazurkaなどがある。
この分類をすること自体が非常に難しい気がする。各国の踊り場では、他の曲を別のリズム感風に演奏して別の踊りで遊ぶということが日常的に行われており、新しい民族舞踊は往往にしてそのようなところから発生するからである(よくなんか曲かかるたびにそのリズムでレギニッシュを踊り出す奴らを見る。自分もやる。)。この分類が仮に出来たとしても、できた時点で対応しない新しい踊りが生まれているだろうし、この分類が変な形で広まると自然な文化の変異を邪魔するだろう。
注文がしやすいので生演奏付きの踊り場で有用。というかBalfolkで発達してるのはこういう理由だと思う。
連続変化するために研究には使いにくいか?そうは言っても音楽の系統分析には役に立つはず。
そのに
リズム、ビート、テンポでわける。上のやつより意味が広いぶん、比較には役に立たない。
音楽家がリズム、ビート、テンポを変更し、他のタイプの音楽っぽくできることが1番大きなメリットに思う。テンポを速くしたもの(Romafest Verbunkとか)、ビートを小刻みにしたもの(Slangpolska fran Barsebackとか)を見たことがある。メロディが変わることは少ないがこんな風に音楽って進化してきたんだろうな…
レクリエーション化した民族舞踊 その2
1.背景
2019年9月に社会人の民族舞踊団体である全日本フォークダンス連盟の主催する講習会に参加した。前の記事に書いた気がするけど、結構高齢の方が多く激しい踊りはほとんどなく、またすべての踊りに振り付けが存在したため実際の村の踊りというより、海外の人間がレクリエーションとして楽しむために整備されている印象を受けた。また、参加者は色々な衣装を着ていたが、具体的にどこかの衣装という訳でなくなんとなく民族的な?衣装を着ているように見えた。
一方で、2019年の終わりからIrish界隈の話を聞くようになった。自分が属した訳ではないのだが、一度セットダンスの練習会に参加させていただき、また、twitterでフォローしたのもあって合同パーティやオンライン演奏会などのイベントが流れてくるようになった。その流れでさらにSwedish界隈についてもいろいろ知るところとなったのだが、これらの特定の文化を中心としたグループは上記の全日本フォークダンス連盟とは異なる経緯で民族舞踊をやっており、彼らの民族音楽や民族舞踊は現代の現地のものにかなり近いのである。メンバーの中には実際に現地のコンテストなどで賞をとっておられる方や、そこまではいかなくとも継続的に現地に通って踊りを習っている方がおられる。
この違いは今の所、特定の文化に興味ある人の集団と引退後のレクリエーションを求めている人の目的の違いによるところが大きいのでは?と考えているが、実際のところはどうなのだろう?以下、この二種の集団の特徴的な違いを見る。
2.日連の特徴
引退後の高齢の方が多いため、筋肉や運動神経以上に体の使い方が重要なSwedenの踊り(特にGammaldans)のレベルは高いのに対し、激しい運動を伴うBulgariaの踊りのレベルはさほどではなかった(関係者の方、すいません…)。日連では年を経るにつれ、おそらくSwedenのようなタイプのものが増えてくるはずである(実際、学生イベントの全日とパーティ曲を比較すると既にこの傾向は現れており、RacenikやVerbunkなどが存在しない)。
権威によってまとまっている集団であるという点も挙げられる。公式の団体として教習免許などを発行したり、国外の要人を講習者として呼んだりしている。モデルバイアスがかなり強く働き、踊りは変化しにくいと思われる。
レクリエーションを追求しているため、((1)にも書いたが)覚えやすいように加工された踊りが多い。フリースタイルな踊りや複雑で覚えにくい踊りは消えていくか改造されて行く傾向があると言えそうである。
3.特定の文化を好む集団の特徴
こちらに関してはあまり詳しくはないものの、年齢層はかなり多様であり、その点で選択が働いていることはなさそうである。
特定の文化を基軸にしているために、それ以外の文化にかなり排他的であることが考えられる。頻度依存バイアスによる同調というよりは、強い興味を持つ個人の集団であることに起因するものではあると思うが、集団間の人の出入りが自由になったのはかなり最近のことであるので、このメカニズムを捉えるのはかなり難しく僕には評価できない。全てのそのような集団が排他的という訳ではないのだと思うが、経験的にいくつかそのような例を知っているのでここに記載している。本国の影響しか受けないとなると、これらの集団はかなり高い精度で影響を受けた段階の現地の文化を再現していることになる。これもまたモデルバイアスの一種になるのだろうか?ともあれ、この条件は踊りの変化のしにくさを示す。
また、現地からの情報の移入は当然ながら不完全であるので現地における少数派が拡大したり、誤解を元に新たな文化を作ってしまう可能性もあるが、長期間にわたる移入によってそれらの浮動は無くなるのではないかと思う。
とにかく、このタイプの集団は国内にも相当数存在し、各文化ごとに異なる特徴を持つはずなんで、個別の考察が必要だろう。また日連の傘下にある集団もありそれらは2と3の中間型といっていいのかわからないが、別の考察が必要そうである。
4.結論
どちらのグループも集団内の同質性が高く、概ね入ってきた文化を変化させにくいメカニズムが働いてそうである。違いは集団間のニッチの違いに依存している気がする。もうちょっと精度よく考察できそうだが、今回は疲れたのでこの辺で、オワタ。
日本の学生民族舞踊におけるガラパゴス化について その1
書きながら思考をまとめようと思って書いているので、まとまりがないのはしょうがない。そんな人生。
日本の大学生の民族舞踊サークルは大体どこも似たような踊りを踊っているのだが、よく見ると全然違う踊りになっていることがよくある。今回はその辺を考えていきたい。
1.背景
1950~1960年代のアメリカのStockton Folkdance campの踊りがほとんどであり、そこで習ってきた人物がこの時期に日本中に広めたらしい(それ以外の踊りとしては、各サークルが別個に現地に行って習ってきた踊りや、特定のツテから学んだ踊りなんかがあるけど、今回はその辺は考えない。)。その後一時は全国の大学に民族舞踊サークルができたらしいのだが、その後徐々に消えていき、今は10前後のサークルが残るのみになっている。
各サークルでは各学年の指導部長が、これまで踊られてきた記録を見ながら1年間に踊る踊りを決め、部員を各踊りの担当者として指名する。担当者は指導者(前回担当となった部員あるいは元部員)から踊りを習い、練習して一定のレベルに達した承認をもらった上で、例会で全部員に踊りの概要を教える(Call)。これが基本の流れである。僕のサークルでは、踊りによって二年に一度しか担当されなかったり、部員が皆に紹介したい踊りを自主的に担当したりする。
2.舞踊のガラパゴス化とは
これは僕のサークルでよく使う単語なので他のサークルでは指摘されていることなのかわからないが、サークルごとの踊りの変異のことを指す。全国行事などで他のサークルと踊るときに、細かい部分の違いに困惑することがある。個人的には姿勢の高さや足の伸ばし具合、足の踏み方などの変異が多い気がするが、稀に踊りの動きの順番からして違う場合などもある。これらを日本の携帯電話になぞらえてガラパゴス化と呼んでいる。
ガラパゴス化という単語はビジネス用語である。日本の携帯電話が外国と隔離された中で国内の技術によってのみ発展、形態が固定化したことを、生物学における適応放散の例としてよく挙げられるガラパゴス諸島の生き物に例えている。く使われるのはガラパゴス携帯(ガラケー)だが、他の製品についても語られる。そしてこの語が指し示す中心的な意味は工業製品の発展と進化生物学の類似性ではなく、隔離された市場で競争に勝ちその市場で基準化した技術が、外部の新技術を取り込むことができずより大きな市場の競争に打ち勝った製品に駆逐されることである。
詳しくはwikipedia参照
舞踊のガラパゴス化と言う時には、このメインの意味ではなく単なる異所的な文化の変異を指していることが多い。自サークル中心主義的な発想ではあるが、ディスってるわけではないのだ。しかし、ガラパゴス化というワードに覆い隠されて、変異の内実がよくわからなくなってる気がするので、今回分析してみた。
3.変異について
まずもって舞踊行為は、その時間間隔の短さから明らかに自然選択や遺伝的浮動の影響は受けないだろう。したがって文化的な変異現象にのみ注目する。
3-1.指導者における変異
指導者が先代から習ってから指導するまでに指導者の中で舞踊情報は変異する。変異のうち、
・完全にランダムに変化する部分(記憶違い、混同など)
・各個人が自分の認知プロセスに従って修正する部分
に分けられる。前者は生物学における遺伝的変異(中立的な進化)に相当するが、後者は進化生物学では否定される目的志向の進化に相当し、一般的には一年程度の期間があるため各個人の認知プロセス自体にも変異がある。
3-2.継承時の変異
指導者が次代に継承する時には、その時点で指導者のもっている舞踊情報は正確には継承されない。この正確さは脳内の電子的情報を直接やりとりできない人間のコミュニケーションの不正確さによってランダムに損なわれ、指導者と次代双方のサークルへの帰属意識によってある程度は担保されるのだと思う。舞踊への熱意に関しては指導者の熱意は正確性に寄与するだろうが、次代の熱意は次に示す指導者へのモデルバイアスを解除するものとして働くのか強めるものとして働くのかはわからない。そして正確さが損なわれた部分はランダムな変異が起こるだろう(中立的な進化)。
次代は指導者以外に資料、前回の紹介(Call)、他の部員、他サークルの部員などからも情報を得る。複数の情報から継承する以上選択も働くはずである。内容バイアス(性的な情報や衛生的な情報などが広がりやすいとするもの)や、頻度依存バイアス(集団内の多数派か少数派によって次代への広がりやすさが変化するもの)の影響もありそうだが、モデルバイアス(なんらかの特徴によってモデルとされる人物の他の特徴が広がりやすい(有名なテニス選手のよく使っている帽子を好む人が多いなど))が一番強く働きそうである。この場合指導者にモデルバイアスがかかり、他の情報より優先的に保存されるはずである。
もちろんモデルとなる指導者があまりに集団内でかけ離れていた場合などは頻度依存バイアスがモデルバイアスを抑える動きをするだろうし、踊りによっては内容バイアスによりモデルバイアスによる指導者の間違いが保存されず、格段に精度よく伝えられ続けることも考えられる。ただ一般的には内容バイアスはあまり働かないだろうし、指導者が一年前にその集団に踊りを広げているわけだから、頻度依存バイアスはむしろモデルバイアスと共鳴する場合の方が多そうである。
3-3.紹介(Call)時の変異
時間的制約があり1対多であるので大きく正確性が損なわれる。ここでも中立的な進化が起きていると思う。
また、この段階での頻度依存バイアスは紹介される部員がCall外でどれほど情報を得ているかに関わる。閉鎖的、部員数が少ないサークルではモデルバイアスが強く働き、開放的、部員数の多いサークルでは頻度依存バイアスが強く働くだろう(Callerに、「~大学の~さんはやってませんでしたよ」などの質問が飛ぶなど)。この頻度依存バイアスは他の段階における変異を元に戻す効果を持つかもしれない。
3-4.復元に伴う変異
例外的ではあるが、部員数の減少などによって継承者が一時絶えてしまった踊りを復元する場合のことを考える。この場合は資料(テキストやyoutube動画など)にモデルバイアスがかか流ことが考えられ、資料の特性により変異が起きることが考えられる。紙資料は動きの順番や目立つものを書く傾向があるので、各動きの特徴が強調された固定的な踊りになることが予想される。一方で、動画資料は動画内の個人のランダム変異(癖など)を受け継いでしまったり、画角の問題により情報が変異することが考えられる。
3-5.結論
月並みだが、開放度(異なる集団間の交流数)が高く、集団内の個人の数が大きければ変異は起こりにくいことになる。また、具体的内容は不明ながら、内容バイアスのかかりやすい踊りについても同様である。
4.雑感
議論が雑すぎる。時間のあるときにもっと詰めていきたいものである。草
以下参考文献
https://www.amazon.co.jp/文化進化論-ダーウィン進化論は文化を説明できるか-アレックス・メスーディ/dp/4757143303
Folk系に興味ある人のコミュニティについて(国外)
国外編である。草。
1.その国にとって他国の文化をやっている
2.自国の文化をやっている
3.レクリエーションとしていろんな国のをやっている
という3パターンがある。それぞれの所に番号で付記しておく。だいたい全部2!北欧についてはそれなりに詳しいが、それ以外は全然ダメなので、順次拡張します。気合があったら分割するかも。舞踊団は別んとこ
France
Norway
Landskappleiken(2)
舞踊コンテスト
非常に有名なNorwayの舞踊コンテストであり、Youtube上にある現地のBygdedansの動画は全部ここのものと思ってもいいくらいである。毎年7月に開かれる。Egil Bakka(2017)によれば、Bygdedansの主な継承の場であり、Krara Sembの収集したものとLandskappleikenがNorwayの二つの民族舞踊の大きな流れとなっているとのことである。音楽のコースもあり、hardanger fiddleやLangleikのコースもある。しかしコンテストということは彼らはどこかで練習しているのだろうか…?その部分はまだリサーチが足りない。
Norsk Folkemuseum(2)
研究機関
野外博物館である。伝統的なNorwayの建物が展示物のメイン。
5月~11月には日曜の14時からから1時間ほど踊りを見せてくれる。さらに、それとは別に夏季には13時から別の場所で毎日踊りを見せてくれる。つまり夏季の日曜に行けば二種類見れるとのことである。後者のみ見たことがあるが、そっちは小学生~高校生くらいの子がレクリエーション的なものをやっておりクオリティはあまり高くなかった。Youtubeを見る限り日曜は30代くらいのカップルがBygdedansを見せてくれるようなので、そっちの方が良さそう(いつか僕もまた行きたい)。
Sweden
Skansen(2)
研究機関
野外民族博物館である。民族舞踊を生で見れるが、(おそらく職員がやっているために)踊り手のクオリティはそう高くない。ある意味民族舞踊らしいんですかね?継承している踊りにはTurdansが多く、Svenska Folkdansringenの関係者が講習するような踊りについてはSkansenの人が踊っている動画を見たことがない。Gammaldansは完全に対象外で、コンテスト系のもの(Hamboなど)もほとんど対象外であろう。もコンテストに出場しているメンバーがいるかはわからん…)
新型コロナウイルス騒動の中で、Turdansの基礎ステップについてYoutubeにアップしており、勉強になる。世界で視聴者が僕ともう一人くらいしかいない。悲しすぎる…
博物館なので資料に期待している(行ったことはない、そもそもSwedenに入国したことがない…)
Svenska Folkdansringen(2)
共同団体
Sweden全土のダンスサークルの協同組合的もの。ダンス以外もSwedenの伝統文化を扱ってるらしい。日本のSwedenの踊りの輸入元は大半はここに関わる講習会であり、2019年10月の来日講習会の講習者もここの所属であった(2020年の100周年記念イベント向けに振り付けた100周年Hamboというのを習った)。扱ってるのはGammaldansがほとんどであると思われる。紹介ページ以外全部Sweden語だが、各地の下部組織のダンスイベントの日程とかも載っているので旅行するときは目を通すと面白いかもしれない。
https://folkdansringen.se/riks/in-english/
MusikVerket(2)
官公庁
google翻訳を通したらSweden芸術庁と翻訳されたので、どうも国立の芸術分野を扱う省庁であるらしい。民族舞踊だけでなく、民族音楽の収集、舞台芸術の収集なども行なっているらしい。
https://musikverket.se/om-musikverket/?lang=en
MUSIK-OCH TEATERBIBLIOTEKET(2)
公立図書館
上記の官公庁の下部組織にあたる図書館。僕の持っている論文集はここで頼んで個人輸入させて頂いた。
https://musikverket.se/musikochteaterbiblioteket/om-musik-och-teaterbiblioteket/?lang=en
Ukraine
Ukranian Dance World
共同団体?
世界中のウクライナの踊りをやっている人たちの共同集団である。Virskyなど国内の職業舞踊団や学生舞踊団、アメリカなどで活動している趣味の団体なども協賛している。Facebookの更新がめっちゃ多い。
U.K
RSCS(2?)
S.C.Dの協会。
https://www.rscds.org/?language=ja
U.S.A
Stockton Folkdance camp(3)
毎年夏にアメリカのStocktonで世界中のフォークダンスを扱うキャンプをやっている。民族舞踊というよりレクリエーション化させた[フォークダンス]としての側面が強く、民俗的なものを志向するなら無駄足になる可能性は高い。講習者は現地人だったり移民だったり大学の教授が現地で習ってきたものだったりする。大体が、講習者によって振り付けがつけられていたり、ラウンドダンス的に変えられたりしている(前者の例がTropanka, 後者の例がToturである)。
一方難易度は低く、最初の導入としては非常に有用と思う。ここで習ったことをyoutubeの類似動画を見て研究して自分で高める、という手法で新しい踊りを学ぶことができると思う。50年代から毎年やっているのでレクリエーション系フォークダンスの元締めみたいなものであり、日本に入ってきているものは大元はだいたいこれである。某氏が60年代にここに通って習ったものを日本で普及させたのだと思う(この話には裏付けはないが…)。
Scandia D.C(1)
ワシントンD.C.の北欧の踊りの社会人サークル。講師はどうもSwedenからの移民っぽく、Stocktonよりも民俗性は高いと思う。かなり大々的にやってるので連絡したら参加させてくれる可能性は高い(私はサイトを見つけただけ)。
扱っている踊りはNorwayのBygdedansとSwedenの王立協会の扱っているPolskaがメインである。NorwayのものについてはしょっちゅうLandskappleikenで踊られているような有名な踊りばかりである(Rorospols, Hallingspringarなど)。Swedenのものはも有名どころが多い。サイトで舞踊動画を公開しているので勉強になる
教習DVDも販売しており、何年か前(少なくとも2017年以前である)のkvkの先輩が購入したらしくVosarullのデータのみ、Caller間で継承されている。著作権的はアウトだよなーコレという感じ。
Folk Dance Federation of California
Let's Dance!という月刊誌?を発行している。基本はStocktonで習ってきたものを会員向けに再紹介している感じだが、Stocktonのテキストブックには載ってない情報(講習者が口頭で伝えたとか?)も載っていることがある。
HP
Let's Dance!のアーカイブ
Romafest2020
Romafest"20の2/16の出演で参加してきた。kvkからはジプシーとハンガリーのにグループが出てきていた。僕がやったのはジプシーのリズムダンス。ダンサーとカホンが掛け合うやつをやった。カホニストとしての二年の経験をしっかり活かせたかなって感じである。
ハンガリーグループが20人以上いてクオリティもやばかった。東大お茶とkvk,千葉工の三校合同。僕らは二人なのでなんか食われたような気もするが、結構いい完成度だったと思う。途中でEnsemble RomafestのTopダンサーのアッティラが乱入してきて最後の方は微妙だったけど…
彼らのリズムの取り方は独特で、踊りとダンスをつなぐものはビートとリズムの二つ以上にもっと細かい要素に分けれるのかもしれない、と思った。うまく言語化できたら書くかもしれない。
新歓に向けてRomafest Verbunk練習しなきゃな(もうすぐ4回生だけど)
Folk系に興味ある人のコミュニティについて(社会人グループ(国内))
社会人民族舞踊サークルはある程度は日本フォークダンス連盟を通じて繋がっているものと思われる。どの程度なんだろうか、ちょっとよくわからないが、Romafestのイベントにヴァラシュカと東京まるる、踊り部の人がいたのは記憶している。個人的には各サークルごとに国、地域レベルで分化しているのでもう少しいろんなところの踊りをやる場があってもいいのに、と思う。あと、ミュージシャンはあんまりいない。そっちはそっちで別の界隈があるみたいである。
東京
サイノス
舞踊
スクエアダンス
詳しくは知らない。僕がスクエアダンスに今関わっていない。C3まで踊れる人が揃ってるのでダンサーのレベルはとても高いと思う(エンジェルが…)。
スペルマンスラーグ東京
音楽、舞踊
Swedish の社会人サークル。月一で土曜に音楽、日曜にダンスをやっているらしい。そのうち行きたいと思っている。金杉区の方でやっているとか。
本郷バルカン研究会
舞踊
バルカンと銘打っているが、他の地域のものも扱っているようである。フランスの曲が講習されているのを聞いたことがある。主催者は直接の知り合いではないが、関東の学生サークルの方でいっておられる方は多いと聞く。
Romafest
舞踊
ジプシー(Roma)の文化を扱っている。ある日本人が運営しておられ、毎年2月に東京でイベントを開いている。ジプシーといってもルーマニアのジプシーがメインであり、後は部分的にセルビア、マケドニアのジプシーもいるかな?程度である。同名の舞踊団が現地に存在する。舞踊団の方も元々はある日本人の運営であったが現在は現地のジプシーが引き継いでいる。日本開催のイベントは増永さんが運営、それ以外の国を巡行する際はジプシー運営、ということらしい。詳しくはフォークロアレポートというサイトに載っている。
踊り部
舞踊
ハンガリー、トランシルヴァニアがメインっぽい感じがする。詳しくは知らない
東京まるる
舞踊
ハンガリーがメインっぽい感じがする。詳しくは知らない。昔名刺はもらった。
埼玉
ヴァラシュカ
舞踊
Slovakiaがメイン。たまにFinland(Finland出身の方が在籍されているため)。若い方が多く、学生的にはとっつきやすい印象であったが、僕以外で学生民族舞踊の人間と関わっているという話は聞かない。埼玉には学生民族舞踊サークルがないせいだろうか
京都
アイ京
舞踊
アイリッシュのみ。セットダンス(Step), セットダンス(Social)を扱ってるっぽい。
クラコの会
舞踊
ポーランドがメイン。毎年9月にPolandフェスタをやっている。嵯峨野フォークダンスクラブというのが母体になっているようである。主催者のご夫妻は東北大フォークダンスサークルのOBOGとのこと。
踊り場
舞踊
kvkOBの方が運営されていて、現地での民族舞踊の権威Timar氏による講習会を毎年10月に開催してくださっている。この講習会は40年近く続いており、現在はTimar氏の息子さんがいらっしゃってくださっている。
KOLO
舞踊
かなり真剣に踊っているサークルと聞いている。2~3年に一回は現地にいっているらしい。ブルガリアが多いイメージ、あっても他のバルカン国家で、それ以外の踊りはほとんど見ない気がする。kvkのOBOGの方が多く、非常に上手い。
関西バルカン研究会
舞踊
バルカン
事実上のkvkの外部団体。毎年六月に滋賀県で講習会を開いている。バルカン研究会と銘打っているが、イスラエルの踊りも多い。1980年から断続的に開催されていたが1995年より毎年5月ごろの土日での開催になっている。年2回の講習会のみの活動。
S.C.Dを踊る会
舞踊
S.C.D
事実上のkvkの外部団体(らしい) 。OBさんによる運営。最近できたらしい。
プチバル
舞踊、音楽
フランス
日本では珍しいフランスの踊りが習える場所。京都フランス会館運営で誰でも当日参加できる(お金はかかる)音楽の講習はやってないが、何回か通って楽器持っていったら教えてくれそうな感じがある(日本人の方の生演奏で踊れるため)。教えてくださる方がブルターニュに留学していた方であるので、ブリターニュ のものが中心となる
大阪
大阪y
舞踊
バルカン
Koloと兼さーしてる人もいる。(というかKOLOとの関係がよくわからない)
トライアスロン
舞踊
バルカン?
というか大阪yが毎年開いているイベントの名前?なのか?大阪yと同じ人がやってはるらしいけど…?KOLO、大阪y、トライアスロンの関係はよくわからない。
九州
小倉例会
舞踊
(Twitterで見かけた程度。主に熊大生向けと書いてあった。九州は大学間交流が活発なのでこの情報はいらない気がする…)