草った人生

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レクリエーション化した民族舞踊 その2

1.背景

2019年9月に社会人の民族舞踊団体である全日本フォークダンス連盟の主催する講習会に参加した。前の記事に書いた気がするけど、結構高齢の方が多く激しい踊りはほとんどなく、またすべての踊りに振り付けが存在したため実際の村の踊りというより、海外の人間がレクリエーションとして楽しむために整備されている印象を受けた。また、参加者は色々な衣装を着ていたが、具体的にどこかの衣装という訳でなくなんとなく民族的な?衣装を着ているように見えた。

一方で、2019年の終わりからIrish界隈の話を聞くようになった。自分が属した訳ではないのだが、一度セットダンスの練習会に参加させていただき、また、twitterでフォローしたのもあって合同パーティやオンライン演奏会などのイベントが流れてくるようになった。その流れでさらにSwedish界隈についてもいろいろ知るところとなったのだが、これらの特定の文化を中心としたグループは上記の全日本フォークダンス連盟とは異なる経緯で民族舞踊をやっており、彼らの民族音楽や民族舞踊は現代の現地のものにかなり近いのである。メンバーの中には実際に現地のコンテストなどで賞をとっておられる方や、そこまではいかなくとも継続的に現地に通って踊りを習っている方がおられる。

この違いは今の所、特定の文化に興味ある人の集団と引退後のレクリエーションを求めている人の目的の違いによるところが大きいのでは?と考えているが、実際のところはどうなのだろう?以下、この二種の集団の特徴的な違いを見る。

2.日連の特徴

引退後の高齢の方が多いため、筋肉や運動神経以上に体の使い方が重要なSwedenの踊り(特にGammaldans)のレベルは高いのに対し、激しい運動を伴うBulgariaの踊りのレベルはさほどではなかった(関係者の方、すいません…)。日連では年を経るにつれ、おそらくSwedenのようなタイプのものが増えてくるはずである(実際、学生イベントの全日とパーティ曲を比較すると既にこの傾向は現れており、RacenikやVerbunkなどが存在しない)。

権威によってまとまっている集団であるという点も挙げられる。公式の団体として教習免許などを発行したり、国外の要人を講習者として呼んだりしている。モデルバイアスがかなり強く働き、踊りは変化しにくいと思われる。

レクリエーションを追求しているため、((1)にも書いたが)覚えやすいように加工された踊りが多い。フリースタイルな踊りや複雑で覚えにくい踊りは消えていくか改造されて行く傾向があると言えそうである。

3.特定の文化を好む集団の特徴

こちらに関してはあまり詳しくはないものの、年齢層はかなり多様であり、その点で選択が働いていることはなさそうである。

特定の文化を基軸にしているために、それ以外の文化にかなり排他的であることが考えられる。頻度依存バイアスによる同調というよりは、強い興味を持つ個人の集団であることに起因するものではあると思うが、集団間の人の出入りが自由になったのはかなり最近のことであるので、このメカニズムを捉えるのはかなり難しく僕には評価できない。全てのそのような集団が排他的という訳ではないのだと思うが、経験的にいくつかそのような例を知っているのでここに記載している。本国の影響しか受けないとなると、これらの集団はかなり高い精度で影響を受けた段階の現地の文化を再現していることになる。これもまたモデルバイアスの一種になるのだろうか?ともあれ、この条件は踊りの変化のしにくさを示す。

また、現地からの情報の移入は当然ながら不完全であるので現地における少数派が拡大したり、誤解を元に新たな文化を作ってしまう可能性もあるが、長期間にわたる移入によってそれらの浮動は無くなるのではないかと思う。

とにかく、このタイプの集団は国内にも相当数存在し、各文化ごとに異なる特徴を持つはずなんで、個別の考察が必要だろう。また日連の傘下にある集団もありそれらは2と3の中間型といっていいのかわからないが、別の考察が必要そうである。

4.結論

どちらのグループも集団内の同質性が高く、概ね入ってきた文化を変化させにくいメカニズムが働いてそうである。違いは集団間のニッチの違いに依存している気がする。もうちょっと精度よく考察できそうだが、今回は疲れたのでこの辺で、オワタ。